「アマゾン・シノドス」後の教皇の使徒的勧告・後半:エコロジーと教会の夢

バチカン放送日本語課[2020.2.12.]より

アマゾン地域をめぐるシノドス後の教皇フランシスコの使徒的勧告「ケリーダ・アマゾニア」について、その後半部分を紹介する。
2月12日発表された、アマゾン地域をめぐる特別シノドス後の教皇フランシスコの使徒的勧告「ケリーダ・アマゾニア」。
この文書は、前書きと、第1章「社会の夢」、第2章「文化の夢」、第3章「エコロジーの夢」、第4章「教会の夢」から構成される。
ここでは、この使徒的勧告のうち、後半部分にあたる第3章と第4章のポイントを紹介する。


エコロジーの夢:環境への配慮と人々への配慮の一致を
使徒的勧告「ケリーダ・アマゾニア」の第3章は、教皇フランシスコの回勅「ラウダート・シ」と間接的につながる「エコロジー的な夢」をテーマとする。冒頭では、アマゾンにおける人間と自然の深い関係が強調される。主がわたしたちを大切にされるように、わたしたちの兄弟を大切にすることが「わたしたちに必要な最初のエコロジー」と教皇はいう。環境への配慮と貧しい人々への配慮は「切り離せないもの」である。教皇は「水」への関心を喚起し、パブロ・ネルーダや他の詩人たちの言葉を通して、アマゾン川の偉大さと美しさを見つめ、自然を圧迫する消費主義からの解放を説いている。
アマゾンの叫びを聴く、持続可能な発展を
教皇は「アマゾンの叫び」に耳を傾けることが急務であると述べる(47-52)。そして、地球のバランスは、地球自体の健康にかかっていることを思い出させている。アマゾンには地域以外の国際的な強い利害も絡んでいるが、地元国の政府の責任を確固とすることが、地域の問題解決のために不可欠、と指摘している。持続可能な発展のためには、住民が諸計画について十分に情報を得ることが大切であり、不可侵の限界を示す規範を設けることが望まれる。先住民族に耳を傾け、アマゾンを利用するだけなく、愛することを学ぶよう願っている。教皇はまた、エコロジー的な教育と習慣の重要性について述べ、エコロジーにおいて、技術面だけでなく、教育的側面にも注意を向けるよう招いている。
教会の夢:アマゾンの顔をもった教会を
使徒的勧告「ケリーダ・アマゾニア」の最終章、第4章は、「教会的な夢」をめぐり、直接カトリックの司牧者と信徒たちに捧げられている。教皇は大きな宣教的告知をもって「アマゾンの顔をもった教会を発展させる」よう招く。「社会的メッセージ」をもたらすだけでは十分でない、と教皇はいう。福音の告知のない教会は、単なるNGOになってしまうと注意している。教皇は、インカルチュレーションについて語り、それはアマゾンの文化に福音の満ち満てる光をもたらすプロセスである、としている。
アマゾンにおける福音の新たなインカルチュレーション
教皇は、アマゾンにおけるインカルチュレーションの道に深い視線を注ぐ(70-74)。教皇は、本来の共同体に存在していた価値は、福音宣教において考慮されるべき、と述べている。「社会的・霊的インカルチュレーション」(75-76)を語る中で、アマゾンの多くの貧しい人々の状況を前に、インカルチュレーションが社会的性質を持たざるをえない一方、それを霊的要素によって補う必要がある、としている。
貧しい人をはじめ、すべての人が秘跡を受けられるように
使徒的勧告は、アマゾンの聖性の出発点は、他の地域のモデルの模倣であってはならない、と述べる (77-80)。「先住民族のシンボルを、必ずしも偶像崇拝的な定義をすることなしに、受け入れることは可能」としている。「霊的な意味に満ちた」存在を必ずしも「異教的あやまり」と決めつけず、同様にいくつかの宗教的祭日についても、浄化のプロセスを必要としながらも、「聖なる意味を含有するもの」として価値づけることができる、としている。
使徒的勧告「ケリーダ・アマゾニア」は、典礼のインカルチュレーションについても述べている(81-84)。教皇は、すでに第2バチカン公会議で、先住民族における典礼上のインカルチュレーションに対する努力が求められていることを、ここで確認している。また、シノドスでは、「アマゾン典礼」起草の提案が上がったことにも言及している。教皇は秘跡について、「貧しい人々をはじめ、すべての人が与ることができなければならない」と述べている。また使徒的勧告「愛の喜び」を引用し、教会がひとつの「関所」とならないよう注意している。

ラテンアメリカの司教らは、アマゾンに宣教師派遣を
教皇は、「教会の役務のインカルチュレーション」についても記し、教会はこれに対し勇気ある回答をすべき、と語る(85-90)。教皇は「できるかぎりミサを捧げること」が保証されるべきと強調。教皇は「司祭に最も特有なものを見極める」ことが重要とし、聖職位階の中で、司祭だけがミサを執行することができる、と答えている。遠隔地で司祭の役務をいかに保証するかという課題について、教皇は、ラテンアメリカをはじめすべての司教らに、「宣教者的召命のある人々」に、アマゾンへの宣教を目指すよう導くと共に、司祭育成の見直しを行うよう、寛大な協力を求めている。
共同体における信徒の役割の重要さを促す
使徒的勧告は、「生命あふれる共同体」について語り(91-98)、ここで信徒たちは「重要な責務」を担うべき、と強調する。教皇は、これは聖職者の不足を補うためだけではない、とし、信徒の活躍が共同体に新しい命を与えないならば、それは限られた目標に終わる、と述べている。新しい信徒の役割、信徒が主役となることを通して、教会はアマゾン地域の課題に応えることができるだろう、と記している。同時に、教皇は奉献生活者たちの特別な役割にも期待を示された。
女性に、聖職者化とは異なる、新しいスペースを
教皇はこの章で、女性の能力と賜物について記している(99-103)。そして、アマゾンにおいて、いくつかの共同体は「強く寛大な女性たちの存在のおかげ」ゆえに、支えられていることを認めている。しかし、ここで教皇は単に「教会が機能的な組織に矮小化されること」がないように注意を促している。教皇は、「マリアの強さと優しさ」の延長としての女性的な貢献を受け入れつつ、女性の聖職者化は退けている。教皇は、司教の公式な認可のもと、共同体の決定において示される、女性の新しい奉仕が生まれることを励ましている。
アマゾンの貧しい人々のために共に闘うキリスト者
教皇は、「闘争を超えた、新しい地平を広げる」必要を説く (104-105)。そして、アマゾンが「部分的な見方に閉じ込められた」「限られた視点を超えていく」よう促している。最終章は「エキュメニカルかつ宗教を超えた共存」をテーマに締めくくられる(106-110)。教皇は信者らに「対話と、共通善のために共に行動するためのスペースを見つける」よう招いている。そして、アマゾンの貧しい人々を守るために、共に闘い、祈り、働くよう呼びかけている。
アマゾンとその人々をマリアに託して
教皇は、使徒的勧告「ケリーダ・アマゾニア」を、アマゾンの母マリアへの祈りをもって終えている(111)。「母よ、アマゾンの貧しい人々を見つめてください。彼らの家はあさましい人々の利害のために壊されました。…権力者たちの心に触れてください。もし手遅れでないならば、まだ生きているものを救えるように、わたしたちを召してください」
12 2月 2020, 12:05

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